FOR THOSE WHO THINK IN MILLENNIA

1000年の設計思想

SLA 100% × 1000年。依存ゼロの構造。創業者不在でも動く設計。
このページは、時間軸の長さが「ただの宣伝文句」ではないことを技術的に示すためにあります。

この設計思想が生まれた背景

私は「タイムレスタウン新浦安」というマンションと戸建てからなる自治会で、2年間会長を務めました。この街区には保育園と介護老人ホームも併設され、「ゆりかごから墓場まで」をコンセプトに設計されています。戸建てに住みながら約250世帯の暮らしを支える仕組みを運営する中で、「タイムレス」という言葉と真剣に向き合うことになりました。

タイムレスとは何か。時間に左右されないとは、どういう構造なのか。

並行して、SoulCarrierという活動で遺骨帰還や無縁墓の調査に携わる中、「記憶は驚くほど簡単に消える」という現実を目の当たりにしました。墓石は100年で風化し、クラウドサービスは10年で終了し、誰かが覚えていなければ存在は消える。

そして、私財を投じて国内外でオフグリッド生活を実践しました。マウイ島でのトレーラーハウス生活、山中湖での車中泊キャンプ。電力も水も通信も、意図的に社会インフラから切り離し、「依存ゼロ」とは何かを家族とともに身体で検証する日々。机上の設計ではなく、実際に暮らしの中で持続可能性を試し続けて得た構造です。

「消える理由」を構造的に排除すれば、残る。

この単純な原理を、エンジニアとして20年培った設計思想と、自らの生活で検証した持続可能性の知見で形にしたのがトキストレージです。

登呂遺跡を訪れたとき、ふと思いました。もし縄文人がトキストレージを持っていたら——土器と一緒に、彼らの暮らしや価値観、想いも伝わっていたはずです。

私たちは1000年後の人々にとっての「縄文人」になる。何を残すかは、今を生きる私たちが決められます。

問いの設定

「1000年残る」と言うのは簡単です。しかし、1000年後に本当に残っているかどうかを、誰が検証できるでしょうか。

この問いに対する私たちの答えは、「検証可能性」ではなく「構造的必然性」で設計するというものです。

1000年後に「残っている確率」を高めるのではなく、「消える理由」を一つずつ潰していく。逆説的ですが、これが最も誠実なアプローチだと考えています。

依存関係の分析

デジタルサービスが消える理由を分解すると、以下の依存関係が見えてきます。

依存対象 一般的なクラウドサービス
サーバー AWS, GCP, Azure等のインフラ
ドメイン 年間更新、レジストラの存続
決済 サブスクリプション継続
運営会社 倒産・買収・方針変更リスク
技術スタック フレームワーク・言語の陳腐化
読取機器 専用アプリ・専用デバイス

S&P 500企業の平均寿命は、1958年の61年から現在は20年未満に縮小しています(McKinsey調査)。世界最大級の企業でさえこの水準。100年後に存在するサービスを予測することは、構造的に不可能です。

トキストレージの設計原則:上記の依存関係をすべてゼロにする。サーバー不要、ドメイン不要、サブスクリプション不要、専用アプリ不要。製品単体で完結する構造。

物理層:石英ガラス

素材特性

素材 合成石英ガラス(SiO₂ 99.9%以上)
理論寿命 数億年(日立×京大 2012年実証)
耐熱温度 1000℃以上
耐水性 完全防水(化学的に安定)
耐薬品性 酸・アルカリに強い
紫外線 劣化なし

比較:御影石(一般的な墓石)

素材 花崗岩(御影石)
実用寿命 100〜200年
劣化要因 風化、酸性雨、苔、凍結融解
刻字の可読性 50〜100年で劣化

石英ガラスは半導体製造のフォトマスク基板にも使われる高純度素材です。「石だから永遠」という誤解に対し、物性レベルでの優位性を持ちます。

データ層:QRコード

規格の永続性

開発 1994年 デンソーウェーブ(日本)
国際規格 ISO/IEC 18004
実績 30年以上の普及・後方互換性維持
読取機器 スマートフォンのカメラ(専用アプリ不要)
特許 オープン化済み(無償利用可)

読取機器の進化予測:カメラとディスプレイは、人間の「目」のインターフェースとして100年後も存在すると予測します。形状は変わっても、「光学的にパターンを認識する」という原理は不変。QRコードの仕様はISO規格として固定されており、将来の機器でも読み取り可能な構造です。

5Dメモリクリスタルとの比較

サウサンプトン大学が開発した5Dメモリクリスタルは、理論上138億年のデータ保存が可能です。しかし:

トキストレージは「1000年」という控えめな数字を採用していますが、これは物理的寿命ではなく、読取可能性を含めた実用寿命の数字です。

ホスティング層:GitHub Pages

QRコードから誘導されるメモリアルページは、GitHub Pages上でホスティングされています。

なぜGitHub Pagesか

運営 Microsoft(2018年買収、75億ドル)
時価総額 約3兆ドル(2024年時点)
開発者数 1億人以上(世界最大の開発者プラットフォーム)
分散型ホスティング 世界中のサーバーにデータを複製。変更履歴と改ざん検知を標準装備
コスト 静的サイトは無料ホスティング

WHY GITHUB

GitHubは世界最大のコードホスティング基盤であり、1億人以上の開発者が利用しています。すべての変更が記録され、改ざんを検知でき、世界中のサーバーにデータが複製されます。

この透明性と分散性を持つプラットフォームを、私たちはホスティング先として選んでいます。

静的サイトの優位性

// メモリアルページの構造 { "server": "不要", "database": "不要", "backend": "不要", "dependencies": 0, "monthly_cost": 0, "format": "HTML/CSS/JS" }

メモリアルページは純粋な静的HTMLです。サーバーサイドの処理がなく、データベースへの接続もありません。GitHub Pagesが仮に消えても、HTMLファイル一式があれば、どのWebサーバーでも再現可能です。

創業者不在でも動く設計

1000年という時間軸では、創業者の存在を前提にできません。トキストレージは、創業者が明日いなくなっても機能し続ける構造を持っています。

製品の動作に必要な要素

石英ガラス

物理的に存在

+

QRコード

ISO規格で読取

+

スマートフォン

汎用デバイス

=

記録の閲覧

創業者不要

依存しないもの

最悪のシナリオ:GitHub Pagesが消え、ドメインが失効した場合でも、QRコードに刻まれたデータは「エラーなく読める形式」で存在し続けます。テキストデータは直接埋め込み、画像データはBase64エンコードでQRコード内に保持。外部依存ゼロの設計です。

SLA 100% × 1000年

通常のSLA(Service Level Agreement)は「99.9%の稼働率」のような形で表現されます。0.1%のダウンタイムは、年間約9時間。

トキストレージのSLAは異なります。

トキストレージのSLA

可用性:100%(サーバーがないため、ダウンタイムという概念がない)

データ永続性:物理的破壊がない限り100%(石英ガラスの物性に依存)

期間:製品の物理的寿命(理論値:数億年)

これは「保証」ではありません。構造的にそうなっている、という記述です。サーバーがなければダウンしない。物理的に刻まれていれば消えない。依存がなければ終了しない。

国立国会図書館への納本

トキストレージで制作されたメモリアルページは、PDFとして国立国会図書館に納本されます。

機関 国立国会図書館(National Diet Library)
根拠法 国立国会図書館法(1948年制定)
保存方針 永久保存(廃棄なし)
蔵書数 約4,700万点(2023年時点)
収集状況 収集対象確認済・定期自動収集(2026年2月確認、受付番号 EA202602160140)

石英ガラス(物理層)、GitHub Pages(デジタル層)、国立国会図書館(制度層)。三重の冗長性により、どれか一つが失われても記録は残り続けます。

文字通りの「タイムレス」:国立国会図書館は、日本国が存続する限り記録を保存し続ける制度的インフラです。個人の存在証明が、国家レベルのアーカイブに組み込まれます。

レガシーオーナーへ

このページをここまで読んでいるあなたは、「1000年」という時間軸を本気で考えている人だと思います。

トキストレージは、すべての人に向けたサービスではありません。「石英ガラスに何か刻んでもらえる」以上の価値を感じない人には、ただの高価な記念品に見えるでしょう。

しかし、このページの技術的構造を理解し、「依存ゼロ」という設計思想に共鳴する人には、トキストレージが何をしようとしているかが伝わるはずです。

存在証明の民主化

あなたが物語となり、世代の対話が重なり、未来の道になる。

それが「存在証明の民主化」——トキストレージの思想です。

1000年後の誰かが、あなたの存在を知ることができる。そのための構造を、私たちは本気で設計しています。